「年金だけで老後を暮らしていけるのか?」――そうした不安を抱く人が、ますます増えています。
日本人の平均寿命は延び続け、定年後の生活が20〜30年続くのは当たり前。ところが、公的年金の支給額は決して十分とは言えません。
たとえば、2025年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額約66,000円。厚生年金を加えても、平均的な夫婦世帯の受給額は月約22万円前後です。一方で、総務省の2024年家計調査によると、夫婦高齢者世帯の平均支出は月26〜28万円。生活費とのギャップは依然として存在しています。
こうした背景から注目されているのが、「年金に上乗せできる制度」の活用です。
公的年金+αで老後資金にゆとりを
自助努力による資産形成を支援する制度は数多くあり、それぞれに特徴があります。代表的なものは以下の通りです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
【加入対象】20歳〜65歳(2022年以降、企業型DC加入者も原則加入可能に)
【掛金上限】自営業者:月6.8万円、会社員:月2.3万円(勤務先制度により異なる)
【メリット】掛金全額所得控除、運用益非課税、受取時も控除あり
【注意点】原則60歳まで引き出し不可
つみたてNISA(新NISA制度)
【年間上限】つみたて枠120万円+成長投資枠240万円(合計360万円まで)
【非課税期間】無期限(2024年より恒久化)
【メリット】運用益が非課税、いつでも引き出せる自由度
【注意点】所得控除はなし
小規模企業共済(自営業・フリーランス向け)
【掛金】月1,000円〜7万円
【特徴】退職金の代替制度、全額所得控除、元本割れリスクあり(途中解約時)
国民年金基金・付加年金
【国民年金基金】自営業者向けの終身年金、掛金全額所得控除
【付加年金】月額200円の上乗せで、年額240円×年数の増額。短期間でも効率的
これらの制度を「併用」することで、老後の備えは大きく広がります。たとえば、つみたてNISAで自由度の高い資産形成をしつつ、iDeCoで老後に備えた節税効果を享受するなど、目的に応じた選択が可能です。
実例で見る!制度活用の成功パターン
30代会社員・Aさん
iDeCo月1万円+つみたてNISA月2万円→5年で約190万円に増加、所得控除で年約3万円の節税も。40代フリーランス・Bさん
国民年金基金と小規模企業共済を併用。老後の年金+退職金代わりに備え、節税効果も大。50代会社員・Cさん
企業型DCからiDeCoへ移管し、自分主導の運用にシフト。複利効果を活かしながら資産形成。
「まだ早い」はもう通用しない。今こそ第一歩を
老後資金の準備は「早く始める」ほど有利です。複利の力を活かせるのは、長い時間を味方につけた人だけ。
「月5,000円でも始めてよかった」――多くの人がそう実感しています。
まずは、少額からでもいいのです。「将来のためにできることは何か」をこの機会に見つけて、行動してみてください。
まとめ
公的年金だけでは、生活費のギャップがあるのが現実
iDeCo、つみたてNISA、小規模企業共済など、節税しながら資産形成できる制度を活用
制度は頻繁に改正されるため、最新情報のチェックが重要
ライフスタイルや職業に合わせた選択が成功のカギ
「未来の自分にありがとう」と言える準備を、今すぐ始めましょう。